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本を読んで、里親ならではの感想が生じたら書きとめるブログです。

『スピリットベアにふれた島』ベン・マイケルセン

 

怒りと暴力という課題を抱えて、物語は進んでいきます。

 

主人公が、凶暴なのにとても泣き虫だったり、自分のために用意されたものを壊滅状態にしたりするところに、ある意味とてもリアリティを感じました。

 

また、その主人公がある大怪我をして、人の手によって運ばれていく場面があります。そこには、運ぶために動かされることによって起こる痛みがあります。他者が助けようとしているまさにそのとき、助けられている本人が感じる痛み。ここでは身体的な怪我ですが、心が大怪我している状態であれば、一見、見た目にはわからないことがある。体の大怪我のように、本当は特殊なケアが必要な状態。そんなふうに考えると、その渦中にいる人に、さあ今からさっそく正しい生活習慣を身に付けていきましょうなんて、場合によっては無理があるのかもしれない…そんなことを改めて思いました。まず十分な手当てをしてから。そして、十分な休養。そこにあるかもしれない痛みから回復するために。

 

ある場面では、片方の空を見ると太陽があり、反対側の空を見ると嵐の兆しがある。そんな空の下、主人公に寄り添う人が、空は晴れているか、それとも嵐が来そうかと問答を始めます。その中で、じゃあ、のぼってくる太陽だけを見たら?とその人は問いかけます。終盤、主人公は、誰もが大きな輪(サークル)の一部なんだ、と語ります。どちらも、絶望したときに少しでも心からそんなふうに思えたら、ずいぶん慰められるだろうなと思える言葉です。

 

スピリットベアにふれた島 (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)

スピリットベアにふれた島 (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)