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本を読んで、里親ならではの感想が生じたら書きとめるブログです。

『新版 親ができるのは「ほんの少しばかり」のこと』山田太一

 

この新版は、1995年に刊行されたものに加筆し、2014年に刊行されたものです。著者が思う親子についてのさまざまなことが、自叙伝を交えながら記されています。

 

その中に、「いまは豊かになって来て、一見いい人が増えてきた。だから、他人の恐さ  人間というものが本当は物凄く恐ろしいものだということに、少し鈍感になってきている」というようなことが書かれているくだりがあります。

 

社会的養護に辿り着いた子どもの事情というのは、子どもによってさまざまだろうと思いますが、中には「人間というものが本当は物凄く恐ろしいものだ」ということを、身をもって経験してやって来る場合もあるかと思います。

 

その場合、追い詰められた時の人間の恐さというものを知らない人が多くなっているかもしれない社会あるいは家庭の中に、そういうことに敏感すぎるぐらい敏感になっているかもしれない子どもが入っていくことになります。場合によっては子ども自身も、追い詰められたような状態にあるかもしれません。そのギャップによる摩擦は、起きてもおかしくはないのだろうと思います。

 

家庭に子どもを迎え入れる場合、そういったことももしかしたらあるかもしれないなと思っておくことは、決して無駄にはならないと思います。摩擦がもし何も起きなければ、幸運だったと胸をなで下ろすだけでいいのですから。摩擦はあるものだと思って子どもを迎えれば、そうなった時の衝撃は緩和されるでしょう。迎える側がそういったギャップの存在を知っておくことで子ども自身の孤独感も緩和されるとしたら、言うことはありません。

 

全体としては、たまにクスッとしたりもしながら肩の力を抜いて、束の間、こうでなくてはいけないという荷物を降ろさせてくれるような本でした。